農地の納税猶予制度
最終更新日:2016年4月1日
農業生産の基盤である農地には、相続等による農業経営の細分化を防止する観点から、税制上の特例措置が設けられています。
この特例を受けようとされる方は、農業委員会の適格者証明書が必要です。
相続税の納税猶予
相続する農地の価格のうち、農業投資価格(注釈)を超える部分に対する相続税の納税が、相続人の死亡の日まで猶予されます。
市街化区域の農地については、猶予後20年間農業を継続した場合にも免除されます。
(注釈)農業投資価格とは、恒久的に耕作又は養畜の事業に供されるべきものとして、取引が行われる場合において、通常成立すると認められる価格として所轄国税局長が決定した価格です。
要件
- 相続人が引き続き農業を継続して行うこと。
- 被相続人の死亡日から10ヶ月以内に申告すること。
贈与税の納税猶予
農地の贈与に対する贈与税の納税が、贈与者の死亡の日まで猶予されます。
その贈与者が死亡した場合には、贈与税が免除されますが、死亡日から新たに相続したものとみなされ相続税が課税されます。
要件
- 推定相続人に対して、所有農地の全部を一括贈与すること。
- 贈与者及び受贈者が、贈与する日まで、3年以上農業経営及び農業に従事していること。
- 受贈者が引き続き農業を継続して行うこと。
納税猶予に係る適格者証明願の受付締切日
毎月10日(ただし12月は5日)です。
その日が休日にあたるときは、休日の前日が締切日となります。
納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例
納税猶予の対象農地は、相続人または受贈者自身で農業経営を行わなければ原則として納税猶予が打ち切られます。
しかし、農業経営基盤強化促進法に基づく事業(利用権設定等)による貸し付けが行われた場合は、相続税の納税猶予は打ち切られません。この貸し付けを「特定貸付け」と言います。
贈与税の納税猶予については、特定貸付けを行うための条件がありますので、農業委員会事務局までご相談ください。
なお、平成21年12月14日以前に相続税の納税猶予の適用を受けている方が特定貸付けを行った場合には、納税猶予の免除条件が「20年営農継続」から、「終身農地利用」になりますのでご注意ください。
この他、市街化区域内の農地でも受けられる、障害で営農困難となった場合に貸し付ける「営農時貸付け」という制度があります。
納税猶予の打ち切り
納税猶予の全部または一部が打ち切られると、猶予されていた税額と、猶予を受けていた期間までの利子税を併せて納付しなければなりません。
以下に納税猶予の全部または一部が打ち切られる事例の一部を例示します。
1 譲渡・貸付け
- 隣の農地の所有者に頼まれて納税猶予の対象農地を売却した。
- 農業後継者である子供2人に納税猶予の対象農地を等分にして贈与した。
- 納税猶予の対象農地を利用権設定で知り合いに貸したが、特定貸付けの手続きをしなかった。
2 転用
- 自宅に隣接した納税猶予の対象農地を許可を受けて長男の分家住宅に転用した。
- 納税猶予の対象農地の一部を作業中のトラック置場として無許可で砂利敷きにした。
- 公道工事のため建設会社に資材置場として納税猶予の対象農地を一時転用で貸した。
3 耕作放棄
- 納税猶予の対象農地を耕作せずに放置していたら、農業委員会から利用意向調査書を送付された。
原則として、譲渡・転用・貸付け・耕作放棄の面積が納税猶予を受けた農地全体の面積の20%を超える場合は猶予の全部が打ち切られ、20%以下の場合は面積に応じた一部が打ち切られます。(公共事業用地として買収される場合などは20%を超えても全部打ち切りにならないなどの特例があります。)
例示したもの以外にも納税猶予が打ち切られる条件があります。
納税猶予の対象農地について、権利移転や転用の計画がある場合や、農業上の利用状況に不安がある場合などは地区の農業委員または農業委員会事務局までお早めにご相談ください。
このページに対する連絡先
農業委員会事務局農地係 電話:088-621-5393
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