更新日:2024年12月5日
提出議案の説明に先立ちまして、一言申し上げます。
一 はじめに
(1) 徳島市総合計画2025
まず、現在、策定を進めております新たな総合計画についてです。
策定にあたり設置いたしました市民会議では、経済団体や大学、市民団体など様々な分野の委員構成のもと、徳島駅前の活性化や、子育て支援の充実、少子高齢化対策、防災・減災対策など、多様な視点からご意見やご提言をいただいたところであり、今議会におきまして「徳島市総合計画2025」の素案を報告できるよう、現在、準備を進めております。
この素案では、基本構想として、概ね10年後を展望し、「将来にわたって持続可能なまちづくり」、「安心して暮らせる強靭なまちづくり」、及び「多様な幸せを実現できるまちづくり」の3つの基本理念のもと、目指すべきまちの将来像として「おどる街 つながる笑顔 水都とくしま」を掲げ、その実現に向けて取り組むべき施策の方針と目標を体系的に示すとともに、施策を計画的かつ効率的に実施するため、具体的な事業を示しております。
まちづくりの基本理念の1つ目として、今後、人口減少や少子高齢化が続くなかでも、都市の活力を維持し、県都として徳島経済をリードしていくことが重要であることから、経済と環境、社会の三側面におけるバランスを上手く保ちながら「将来にわたって持続可能なまちづくり」に取り組んでまいります。
次に2つ目として、全国的に大規模な地震が相次ぎ、南海トラフ地震の発生確率も高まるなか、最低限の社会・経済機能を維持できる強靭な社会を形成するとともに、平常時においても誰一人取り残さない社会の実現に取り組むことが重要であることから、全ての市民の皆さまが生まれ育った場所で心穏やかな生活を送れるよう、「安心して暮らせる強靭なまちづくり」に取り組んでまいります。
最後に、3つ目として、近年、人々が多様性を尊重し、自分らしい幸福を実感する「ウェルビーイング」志向が高まっていることから、誰もが生涯を通じて自分らしく生き、活躍できるよう、「多様な幸せを実現できるまちづくり」に取り組んでまいります。
今後、今定例会でのご報告、パブリックコメントの手続きを経て、令和7年3月定例会におきまして、最終案をお示しし、策定してまいります。
(2) 県との協議
次に、県とのまちづくりに関する協議についてです。
9月14日の知事・市長会談以降、市議会で様々な議論があり、さきの9月議会の閉会にあたって各種の決議がなされましたが、そのうち、「県市協調新ホール整備に関する基本協定」の締結や改廃に市議会の議決を必要とする条例案につきましては、私としては苦渋の決断により、再議を申し入れたところでございます。
そうした中、先月19日に「県都魅力度アップ推進ワーキンググループ」の第3回会議が開催され、「藍場浜公園・西エリアでの新ホール整備に向けた進め方」、「県市基本協定改定に向けた考え方」、「新たな基金を活用した支援」を議題とし、県から説明を受け、協議を行ったところです。
会議では、基本協定を白紙に戻すのではなく、改定して対応する必要性についての県の考え方を確認するとともに、無償譲渡した土地の取扱いについては、現在、現行の「県市協調新ホール整備基本計画」を引き継ぐものとして、県が策定中の「新ホール早期整備プラン」及び基本協定の改定と、一体的に整理を進めることを確認したほか、県から、「新たな基金」に係る設置条例案と積立金の補正予算案を県議会に提出予定であることなどについて説明がありました。
「新ホール早期整備プラン」に関しましては、現在、県において有識者による意見交換会が開催され、同プランの骨子(案)などについて議論されているところであり、徳島市からも担当者がオブザーバーとして参加しております。
また、「新たな基金」については、これまで県市基本協定に基づいて徳島市が負担してまいりました費用約15億円を上回る20億円を積立金とする補正予算案が県議会に提出され、議論されているところであります。
現在、再議に関しましては、継続審査とされておりますが、引き続き、市議会のご理解をいただけるよう努力しながら、市民が待ち望む新ホールの一日も早い完成に向け、今後も県市協調で取り組んでまいりたいと考えております。
(3) 阿波おどり
次に、阿波おどりについてです。
今年の夏の阿波おどりは、天候に恵まれ、5年ぶりとなった紺屋町演舞場の復活や、コロナ禍が明けたことによる観光需要回復の後押しもあり、5日間の会場周辺の人出は100万人を超え、チケット収入が大幅に増収となった一方で、人件費や物価高騰等の影響により多くの経費が増大するなか、主催者である実行委員会では、経費節減に向けて、創意工夫を重ねた取組を展開した結果、約1,440万円の黒字決算になる見込みとの報告がありました。
実行委員会では、今夏の課題等を洗い出しするとともに、改善策やさらなる阿波おどりの魅力向上策について、前向きな議論が行われており、来年の夏への準備が進められている状況です。
私は、過去に実施した阿波おどり運営そのものを民間に委ねていた手法を意識しつつ、今夏の実行委員会による運営を市長として支援してまいりました。
現在の阿波おどりの運営は、徳島の観光・文化をはじめ阿波おどりに関わりのある団体を中心に、市が事務局を担っており、さらに県内外の民間企業の皆さまからの多大なご支援・ご協力をいただくとともに、多くの関係者との信頼関係を構築しながら、オール徳島体制のもと運営に取り組んでいます。
その結果、リスク管理基金への積み立てや桟敷の修繕を行うなど、成果を上げていると認識しております。
こうしたことから、来年度も、現在の実行委員会が主体となり、徳島が世界に誇る伝統文化である阿波おどりを、市民の皆さまとともに未来へと引き継いでいけるよう、徳島市といたしましても、実行委員会としっかりと連携し、取り組んでまいります。
あわせて、将来を見据えた持続可能な運営のあり方につきましても、民間事業者のノウハウを生かした運営や昨今の気象状況の変化によるリスク対応も含め、市として、中長期的な視点で検討を続けてまいりたいと考えております。
まずは、来年4月から開催される2025大阪・関西万博によって期待される、大きな観光需要の波を逃すことなく、「阿波おどり」という唯一無二の徳島の宝を持つ徳島市として、そのブランド価値をさらに高め、魅力を発信していくために、今後も実行委員会をはじめ多くの関係者の皆さまと連携・協力しながら、しっかりと取り組んでまいります。
二 新たな行財政運営計画の策定
次に、新たな行財政運営計画の策定についてです。
9月定例会における総務委員会でご報告いたしました財政収支試算では、市税収入や、地方交付税の増加が見込まれるものの、社会保障関係経費である扶助費や、物価高騰等の影響を受けた物件費などの増加が見込まれておりまして、今回の試算期間内である令和7年度からの5年間においては、基金が枯渇することはないものの、毎年度、収支不足が見込まれる厳しい見通しとなっております。
一方で、急速に進む人口減少や少子高齢化、それに伴う、生産年齢人口の減少や、労働力不足など、地域経済を取り巻く環境は、これまで以上に厳しくなることが予想されるなか、今後、新たな一般廃棄物中間処理施設や危機管理センターの整備のほか、老朽化する公共施設の維持管理など、大きな財政負担を伴ういくつもの事業に取り組んでいかなければなりません。
このような状況を踏まえ、これまでどおりの財政規律を維持しながら、山積する課題を一つずつ着実に解決できる持続可能な行財政基盤の確立に向けて、現在、新たな行財政運営計画の策定に、全力で取り組んでいるところでございます。
三 令和6年12月議会提出議案
(1) 概要
それでは、今回提出いたしました議案の概要につきまして、ご説明いたします。
今議会に提出いたしました議案は、予算議案3件、条例議案3件のほか、単行議案14件の合計20件となっています。
(2) 予算議案
まず、予算議案につきましては、一般会計では、20億9,571万円の増額となっており、物価高騰の影響を受けている子育て世帯への支援や、国庫補助金の未精算分に係る返還金、公共施設の電気料金の不足分などのほか、例年12月議会に計上しております、扶助費など利用者数等の増加による各経費の執行状況に対応した予算を計上しております。
また、国民健康保険事業特別会計では、国から示されたマイナンバーカードと健康保険証の一体化の方針に伴い、被保険者に資格確認書等を交付する業務について債務負担行為を設定するとともに、市民病院事業会計では、化学療法件数や、整形外科などの手術件数増加に伴う材料費の不足及び、がん診療等における遺伝子検査の需要拡大による検査件数増加に伴う検査手数料の不足について補正を行っております。
それでは、一般会計の補正予算について説明いたします。
まず、子育て世帯への支援に関する事業として、小・中学校の学校給食につきまして、令和6年度当初予算において、食材料費や燃料費の高騰分の補助を計上しておりましたが、長引く物価高騰による、食材等の更なる価格の上昇や、記録的な猛暑など様々な要因により、主食である米の価格が昨年平均の約1.5倍となるなど、安定した学校給食の提供が難しい状況となっていることから、保護者負担の軽減を図り、安全・安心な学校給食を維持するため、食材納入事業者に対して追加補助を行います。
また、子宮頸がん予防ワクチンについて、過去の積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方に対する接種の期限が今年度末までとなっていることに伴い、当初想定を上回る接種者が見込まれるため、小児等定期予防接種費の増額や、ファミリー・サポート・センターの利便性の向上のため実施している補助について、周知広報に努め、広く認知されたことにより、活動件数が増加したことに伴う増額のほか、利用件数の増加に伴い、子ども医療費を増額しております。
そのほか、令和4年度から、順次、計画的に取り組んでいる中学校校舎の長寿命化工事について、今年度実施予定であった国府中学校校舎改修工事の入札が不調となったことから、本年度計上していた事業費を減額し、繰越明許費の補正を行うとともに、着工の延期及び工期の延長の必要が生じたため、改めて債務負担行為を設定しております。
着工が遅れることにより全体的なスケジュールを見直すことになりますが、子どもたちの負担にならないよう、適宜、学校と調整を図りながら、事業を進めてまいりたいと考えております。
また、電気料金高騰の影響により、各公共施設等において不足する光熱費への対応や、新型コロナウイルスワクチン接種事業など、国庫補助金の未精算分に係る返還金のほか、戸籍法の改正に伴い、戸籍に氏名の振り仮名を記載する必要が生じるため、記載予定の氏名を本人に通知するための戸籍情報システムに係る改修経費を計上しております。
それ以外にも、利用者の増加に伴う、障害福祉サービス給付費や、県が実施する都市計画道路事業に対する負担金を増額するとともに、債務負担行為の補正として、指定管理者制度を導入している施設のうち、本年度末に指定期間が満了いたします施設に係る指定管理者の更新や、廃止する公民館の事業を統合するコミュニティセンターについて、指定管理料を増額するほか、令和7年度に改訂となる中学校教師用教科書等の購入契約に係る債務負担行為の設定、また、助任橋架替工事、及び四国横断自動車道周辺対策については、工事費が増加したことに伴う、債務負担行為の変更を計上しております。
(3) 条例議案
続きまして、条例議案につきましては、自治体情報システムの標準化に伴い、本市の住民基本台帳に記録されていない者、いわゆる住登外者の情報について、これを独自利用できる特定個人情報として加えるほか、その管理に係る事務を個人番号の独自利用事務とするなど、徳島市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部を改正するものでございます。
また、徳島市の観光施設の核である眉山ロープウエイ及び阿波おどり会館については、コロナ禍が明けて、観光需要が大きな伸びをみせるなか、施設の魅力を向上させ、多くの観光客を呼び込むことが、地域経済の活性化に大きく寄与するものと考えております。
また一方で、観光資源としての魅力を高めつつ、持続可能な運営を実現するため、適正な受益者負担の設定と施設の機能や役割の再検討が不可欠であると考えています。
これらの考えに基づき、今定例会に計上しております、徳島市商業観光施設事業条例、及び阿波おどり会館条例の一部改正につきましては、利用料金の改正により確保いたしました財源により、観光誘客の促進と、施設の適正な維持管理を行っていくため、利用者の皆さまに一定のご負担をお願いするものでございます。
なお、今回、利用料金を改正いたしますが、眉山ロープウエイにつきましては、市民の皆さま、特に若い世代に利用しやすい環境を整え、地元に対する愛着の増進や、魅力発信を目的として、新たに18歳までの市民の利用料金を無料とする軽減策を検討してまいります。
(4) 単行議案
最後に、単行議案につきましては、四国横断自動車道周辺対策事業に関する工事請負契約の変更、令和7年度からの指定管理者の指定のほか、市道路線の廃止及び認定に関する議案を提出しています。
以上、よろしくご審議いただき、ご可決くださいますよう、お願いいたします。
財政課
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